A-7 実践レポート ①②③

7/17(日) 9:00-12:30
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三つのテーマについて、順番に開催されます。


①自治体によるプレイバックシアター劇団立ち上げ

重石多鶴子
所属 / プレイバックシアターOnce


「プレイバックシアターOnce」は、大分県大分市が子育て支援事業の一環として2011年に開催した「アクター養成講座」の卒業生によって、2012年4月に結成さした団体です。大分市では、子育てに不安や悩みを抱える親を支援するための様々な施策を展開する中、他市にない特色ある事業として、2010年「プレイバックシアターを活用した市民劇団立ち上げ事業」を実施することを企画し、翌年7月から8回の養成講座を実施しました。講座修了生の中で、子育て教室やPTA研修等の場でプレイバックシアターを実践しようという人が劇団員となり、自主的な活動を続けています。私は、市の職員として事業の企画や運営に携わり、市民劇団結成後も一市民として活動に参加している立場から、自治体が育成した劇団の軌跡と今後の展望について発表したいと思います。

プロフィール
プレイバックシアターOnce


プレイバックシアターOnceは2012年4月に子育て支援を目的とする市民劇団としてスタートしました。他のカンパニーとの大きな違いは、自治体がコアトレーニングの講座を開催し、劇団立ち上げ支援を行ったことです。子育て中から70代の人まで幅広い年齢層の団員が、それぞれの立場で社会貢献していることも強みで、年間10数件の受注公演を得ています。地域の子育てサロン、公民館主催講座などの子育て支援分野から、最近では、人権講座や職員研修などの分野に活動を広げているカンパニーです。

②対人援助職教育とプレイバックシアター

各務勝博
所属 / 京都医健専門学校


プレイバックシアターを実践することで、様々な気づき(他者や自己との関係性・経験した出来事に対する振り返り等)や自己肯定感、他者への寛容さなどが育まれます。対人援助を実践していく上人援での重要な要素となり得ると考え、本務校の社会福祉士養成課程において演習授業の中で取り入れています。

プロフィール


立命館大学大学院応用人間科学研究科修士課程修了。同大学院先端総合学術研究科博士後期課程在学中。京都医健専門学校社会福祉科教務主任。京都文教大学非常勤講師。京都プレイバックシアター代表。演劇ユニット「京都怪演隊」代表。大阪府立金剛コロニー支援員を経て、社会福祉法人京都福祉サービス協会にて事業部長を務めていた時代に、現任研修や新人研修でPTを用いる。現在、社会福祉士養成の演習授業でPTを活用している。


[担当者さんからの一押しコメント!]

プレイバックシアターと援助場面を想定した創作劇の作成を組み合わせたプログラムにより、ソーシャルワーカーの育成を行っています。教育や対人援助、演劇に関わっている方だけでなく、興味を持たれた方はぜひご参加ください。

③プレイバック・シアターを用いた構成的グループアプローチ ―教育領域での心理的検討―

 

久米喜代美
所属 / 桜美林大学 加齢・発達研究所


グループアプローチは、個人間のコミュニケーションと、対人関係の発展と改善を図る心理教育的な援助活動です。自己の成長や対人関係の改善につながるグループアプローチは、教育、福祉、カウンセリング、産業、医療などの幅広い分野で活発に実施されています。今回の報告は、教育領域でプレイバック・シアターの「ストーリー」まで実施したグループと、「ストーリー」に至るまでのウォーミングアップを活用して、コミュニケーション力の本質的な部分である人間関係力を高めることを目的にしたグループに、それぞれ前後で心理尺度を用いて統計処理を行った結果について報告します。さらに、教育領域の中では学生同士の関係は継続され、授業という強制力をもつ環境の中で、プレイバック・シアター本来の「ストーリー」を展開するにはいくつかの課題も検討したいと思います。

プロフィール


1997年にプレイバック・シアターの舞台で衝撃を受ける。その後、各カンパニーのワークショップに参加、松本恵子主催のスペース友遊で活動、羽地朝和らと共にNPO法人プレイバック・シアターらしんばんを立ち上げる。2012年まで監事や理事を担当する。桜美林大学加齢発達研究所所属、教育領域で非常勤講師として活動。また、独立行政法人でメンタルヘルスカウンセラー、ヨーガ講師、からだからアプローチする健康心理講座を指導している。