A-6 無言の場面で形にするプレイバック・コミュニティの夢

~「被抑圧者の演劇」の「イメージシアター」の非言語的展開~


7/17(日) 9:00-12:30


松田裕樹
所属 / 身体でイメージを形にするワークショップ


ボアールが創始した「被抑圧者の演劇」の代表的手法の1つ「イメージシアター」は、思い通りにいかない世の中で、私たちが置かれている「現状」を意識するとともに、「夢」や「願い」をどうすれば実現できるか、探っていくための手法です。ポーズを取っている人たちを並べて静止した状態の「場面」を表現するのが基本です。もともと共通言語がない状況で必要に迫られて生まれた手法で、さまざまな進め方がある中で、非言語的に展開させていくことも可能です。特に、場面を表現する「作者」が、ポーズを取る人たちに言葉では説明しないでポーズだけを与えていくという進め方もあり、「演者」も独自の解釈をしながら場面を展開させていくことになります。言葉を使わない表現の中で、作者の表現・演者の表現・観客の多様な解釈が交錯し、時に誤解も生じながら、言葉を超えて伝わるものもあり、多様性の中で共有されているものが浮き彫りになります。個々人の夢を表現しながら、それが参加者同士の間でいかに共有されているかを明らかにし、それに取り組むこともできます。そのような手法を用い、プレイバックシアターに関心を寄せる人たちの集まりを「コミュニティ」と見立て、そこで共有されている夢にスポットを当て、それを形にするにはどうすればいいのか探っていきます。

「被抑圧者の演劇」では、観客が舞台に上がって役者に成り代わって動く「フォーラムシアター」の方が、イメージが分かりやすく有名かもしれませんが、「イメージシアター」にも独自の魅力があります。

特に今回は言葉を使わず感じたままに動いてもらう部分もあり、そこではダンスに近いような独特の感覚も味わえます。

プロフィール


‘71年生まれ、大阪在住。‘97年に「フィリピン教育演劇協会」の、状況をどう変えていくか探るために演劇を活用するワークショップに出会う。’99,‘01年にカナダで、ブラジル発祥で世界的に実践されている「被抑圧者の演劇」をベースにしたワークショップを体験。‘00年頃から、それまでの体験を基に、独自のワークショップ実践を展開。’13年から肺がんを患い、患者会等の場でも自分のワークショップを活用することが現在の関心事の1つ


[担当者さんからのいち押しポイント!]

プレイバックシアターに関心のある人達が「コミュニティ」として共有する「夢」を、主に「身体」で表現してもらうプログラムです。言葉を極力使わないで「ポーズ」を表現の基本にして、夢の実現の道筋を探ります。